Veriorが「100%化学合成油」等と表記していないワケ
- Verior

- 3月28日
- 読了時間: 3分
更新日:9月12日
A. 個人的にくだらないから。
一応念の為に基本的な所をおさらいしながら説明してみたいと思います。
- ベースオイル区分 -
エンジンオイルのベースオイルには種類があり、それは1〜5までのグループで分類されています。

グループ1:粘度指数80〜119の(溶剤精製された)鉱物油
グループ2:粘度指数80〜119の(水素化精製された)鉱物油
表記...HIVI(High Viscosity Indexの略)
グループ3:粘度指数120以上の(水素化分解された)鉱物油
表記...VHVI(Very High Viscosity Indexの略)
グループ4:ポリアルファオレフィン
表記...PAO(Poly Alpha Olefinの略)
グループ5:上記1~4に当てはまらない物すべて
グループが上になるほど高性能という意味ではないです。あくまでただの分類です。
例えばグループ4とグループ5には粘度指数の基準がありませんよ?( ̄ー ̄ )
- グループ3の化学合成油表記 -
さて、昔あった裁判で、グループ3のVHVIは鉱物油ベースにも関わらず化学合成油と表記することが認められています。
Wikipedia カストロール ~化学合成油の概念が変った~
実際、現在販売されているエンジンオイルで、特にPAOやエステルの表記なしに「100%化学合成油」と書いてあるのは99%(いや、100%?)VHVIベースオイルです。
"鉱物油"と"化学合成油"では字面から受ける印象が全然異なりますので、堂々と合成油と謳(うた)えるのは販売側としてはありがたい話なワケです。
- 重要なのは粘度指数(VI) -
でもその本質は何かというと、分類の基準にある通り粘度指数(VI)です。
粘度指数が高ければ余計な添加剤(ポリマー)も少なくて済むし、その分オイルの寿命も伸びる。
なぜ寿命が伸びるかと言えば、ベースオイルよりも添加剤のほうが先に劣化して機能を失うから。
『ベースオイルが重要!』と言われる理由はここにあり、添加剤の分量は少ないに越したことはないのです。
(でも日本では固定化された観念で半年or5000km交換が常識だと思っているので、実はロングライフ性能は誰も求めてないという)
あと、ベールオイルの性能としてはこの分類基準にはない蒸発性(Noack)とか低温流動性とか添加剤との相溶性の優劣とか、製作サイドの目線だと他にも色々と考える要素があります。
- 消費者が知りたい情報の可視化 -
つまり「鉱物油」「化学合成油」というざっくりした表現には意味がなくて、消費者が知りたい一番の情報は『グループ分類』、さらに言えば『粘度と粘度指数』ですよね。
なので、「化学合成油」というVHVIなのかPAOなのかエステルなのかアルキルナフタレンなのか、何がどれくらい入ってるか分からない表現には意味を感じないので、最初に書いたようにくだらないと思うのです。
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