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ロータリーエンジンにはどの商品が適?

  • 執筆者の写真: Verior
    Verior
  • 9月13日
  • 読了時間: 3分

更新日:9月14日

別に質問を戴いた訳ではないのですが、なんとなく私の見解を書いておこうと思いたちました。


【結論】


主に街乗りのみ…Verior O (15W-40)

サーキット走行 ... Verior 10 (5W-40)


【解説】


1.密閉性の確保


ロータリーはオイル食いで知られる通り、そもそもローターハウジングにオイルが供給される訳ですので、燃焼室で混合気とともに燃焼されますし、各部シールもピストンリングと違ってロータリーのは1枚しかないので、どうしてもオイル侵入が発生します。


燃焼室への供給は仕組み上仕方ないにしても、サイドシールの方は少しでも燃焼室への侵入を減らすために油膜の確保がとても重要な要素になります。


一般に市販のオイルは油膜を確保する手段が

・固い粘度

・粘度指数向上剤

くらいでしか考えておりません。


物理的にはそのアプローチで良さげですが、温度が上がったり走行距離が伸びてくると、酸化・劣化によって効果が薄れてきます。


しかも粘度指数向上剤は酸化するとカーボン(煤)化してしまう為、燃焼室にろくでもない老廃物を残します。


もっと分子レベルでの安定性が求められます。


Veriorではその辺を

・アルキルナフタレン

・ひまし油エステル

・二硫化タングステン

の3つで確保・対策しています。



2.粘度の安定性


アルキルナフタレンはベンゼン環(六角形)が二つくっついた、∞のような形の分子構造(ナフタレン環)をしています。

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蜂の巣を見てわかるとおり、六角形というのは非常に安定した構造です。

せん断にも負けず、長期に渡って安定した性能を維持します。(ただし粘度指数そのものは低い)


*

その粘度指数の低さを補うためにVeriorではひまし油エステルを添加しています。

低温側の流動性はやや固い性質ですが、何より粘度指数の高さは魅力です。(LB-702は188もある)


3.金属皮膜


上記二つは、いずれも極性を持つベースオイルなため、金属面への付着・保護効果が得られることで圧縮の安定性に寄与します。


しかしこの極性を持つオイルによる吸着は、エンジン始動〜低温域までしかカバーできません。(温まるとオイルの粘度が下がるから)


なのでそれとは別に高温域で作用する被膜を作るために、二硫化タングステン(WS2)を入れています。


WS2はナノサイズの粉末ですが、金属面で強い圧力や熱が加わるとその金属面に被膜が生成されます。

これが極圧性を発揮するのですが、それだけでなくこの皮膜は金属同士の微小な隙間を埋めてくれます。

約50ナノメートル厚のトライボフィルム
約50ナノメートル厚のトライボフィルム

レシプロエンジンであればピストンリング(トップリング)、ロータリーエンジンであれば各部シールといった混合潤滑領域で有効に働き、圧縮漏れを減らし、ブローバイガスの低減とトルク向上が実感として得られます。



4.耐久性の付与


従来の粘度指数向上剤に頼ったアプローチだとどうしても寿命が短く、短期交換せざるをえませんでした。


しかし前述のアルキルナフタレンは耐久性が高くそもそも長持ち。


一方でひまし油エステルについては、極性が控え目で加水分解に強い組成で作られているものの、それでもいつかは加水分解する運命は変えられません。


そこをサポートするために、

・オイルへの水分混入を排除する、疎水性(抗乳化性)を持つCaスルフォネート

・熱酸化,劣化を遅らせる二つの酸化防止剤(ジフェニルアミン,ヒンダードフェノール)

によってエステルの劣化を抑え、耐久性を持たせる設計としています。



5.つまり


これらの条件を満たすためにはそれぞれある程度の濃度と粘度が必要なため、

・高回転を使用しない用途では「Verior O (15W-40)」

・高回転を使用する用途では「Verior 10 (5W-40)」


という結論な訳です。

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