ミッションオイルを試作してマイクロバスに入れてみた。
- Verior

- 3月7日
- 読了時間: 4分
更新日:3月8日
以前のギアオイルの記事でも触れた通り、ギアオイルのグレードGL-4とGL-5の違いって、EP剤(極圧添加剤)の配合割合なんですよね。
EP剤は硫黄やリン等々を含む添加剤で、これらの成分は金属を腐食させる作用があるため、鉄に比べて腐食に弱いシンクロリングを使うトランスミッションなんかにはGL-5を使っちゃいけませんよという話でした。
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さて、ミッションオイル(ギアオイル)に求める性能とは?って考えた時、エンジンオイルに比べると特段難しくない。
なぜならエンジン本体に比べたら熱的にも余裕だし、ブローバイガスの混入による影響もない。つまり水分の混入もない。基本的に密閉空間。ただ歯車の中でぐるぐる撹拌され続けるだけ。
ただ、歯車が接する部分でのせん断力と圧力は非常に強いから、もし粘度指数向上剤(高分子ポリマー)なんかを使う場合にはそれ相応の強いものを使う必要がある。
あと常に撹拌され続けるので、消泡剤もちびっとね。
そんくらい。
ベースオイルはエンジンオイルと同じだし、それであれば今手元にある材料で十分作れそう。
ちなみに粘度的にもエンジンオイルと大差なし。
エンジンオイルで言う○W-40の固さであれば、ギアオイルの場合は○W-90位の固さ。

AIに聞いてみたりもして色々検証したけど、やっぱりどう考えても作れる。
ちなみに手元にEP剤はありません。そもそもVeriorにはEP剤は後入れしていませんので。
ただ、性能向上剤ADTCは入れてあるので、もともとのベースエンジンオイルに含まれるZnDTPの性能は強化されます。(酸化防止、摩耗、極圧)
EP剤の代わりに二硫化タングステンで代用して極圧性能を担保します。
これなら腐食の心配もいらないし、性能も桁違いに高い。
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てことで配合を考えてみたんだけど、結局はエンジンオイルと大差ないなー。

Veriorで使っているベースエンジンオイルはVHVI+とPAOでそもそも粘度指数が優秀。
ポリマーいらない。
あとはなんとなく固めに作っておけばいいかな。
てことで、計算値での動粘度は以下のようになりました。
【試作ギアオイル】
粘度グレード 多分80W-90くらい
100℃動粘度 14.66 cSt
40℃動粘度 88.66 cSt
粘度指数 173
ギアオイルの上のグレードの90は粘度の幅が広いんですが、今回作ってみたこのオイルの14.66 cStは、90の範囲内では結構下の方。
適当に、ENEOSのギアオイルとで見比べてみる。

本来粘度指数もこんなもんで成立するし、塩基価なんてあってないようなもの。
40℃動粘度が硬いのでシフトフィーリングのイメージが湧きますね。
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前置きが長くなりましたが、本日このレシピでギアオイルを作り、わが家で使っているマイクロバスのミッションオイルを交換してみました。


ちなみに、交換前に使っていたミッションオイルはBGのシンクロシフトIIでした。リッター4000円の超高性能&超高級ミッションオイルです。

ということで、5L以上もオイルを飲み込み、交換作業終了です。

さて、理屈では自信はあるものの、実際に動かしてみて問題ないだろうか…。
前回交換したとき、純正のギアオイルからシンクロシフトIIに換えたときは最初からフィーリングが雲泥の差だったので、もし問題があればギア鳴りとかシフトが入りづらいとか、何かしらのサインが出るはず。
↓動画
近所を10分ほど走ってきて、駐車場に戻ってバックギア等も確認しましたが、何一つ違和感がありませんでした。
今までとフィーリングが変わらないってことは、シンクロシフトIIと大体同等の性能があると見ても(゚з゚)イインデネーノ?
VHVI+,PAO,アルキルナフタレン,エステルと、高性能なベースオイルが目白押しでそこへさらに二硫化タングステンのコンボだものなぁ。問題が起きようもなかろう。
このバスで今日の夕方から明日へかけて安比のさらに北へ家族旅行へ行ってくるので、長距離運転後の温感時と朝の超寒い冷間時のフィーリングも確かめてきます。
まぁ0W-40をベースにしてるから問題が起きようもなかろうけど。
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なお、このギアオイルで販売価格を設定すると税抜きで3,400円/Lとなるようです。
ラインナップはしないけど。
それでも試してみたい方はお問い合わせください。
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後日追記:

朝方、氷点下での出発でしたが、寒冷時でもシフトは至ってスムーズで問題なかった。
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