Veriorの水分(加水分解)対策
- Verior

- 4月12日
- 読了時間: 4分
更新日:4月21日
エンジンオイルの劣化原因はこの5つ。
1.熱
2.剪断
3.水
4.燃料
5.酸化物質(窒化酸化物等)
その中でも一番分かりやすいのはやはり「熱」ではないでしょうか。
よくオイルの使用感を評価する際にも熱安定性(サーキット走行など)が対象に挙がったりしますしね。
…が、実は通勤なんかの使い方もオイルにとってはとてもシビア。
特に、
・毎日通勤で使用する
・その1回あたりの走行時間が15分に満たない
・ストップ多め
という条件が当てはまると、もはやスポーツ走行よりもよほどしんどい。
何がそんなにオイルをしんどくさせるかと言えば、それは「水」。
今日は、そんな水分とオイル劣化の関係。そしてVeriorの水分対策についてお話します。
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【乳化(エマルジョン)】
オイルは油。
油は水と混じらないと言いますが、エンジンオイルの場合はミスト状になるので結構混ざります。
↓前にも使った画像

この、水と油が混ざった状態を「乳化(エマルジョン化)」と言い、この状態だとまともな潤滑性能を発揮できません。
エンジンオイルにとって水分は大敵。水分の混入によって、
・潤滑性の低下
・加水分解
・化学反応(酸性化)の促進
・成分の変質
など、様々な悪影響が及ぼされるからです。
ヨーロッパでは〇〇万km交換って言ってる時に、日本だけは5000km交換を標準とすべし!みたいになっている理由が、この水分混入による影響の大きさ。
仮にエンジンケース内に水分が発生しても、エンジン温度ひいては油温が上がれば水分は蒸発して最終的に外気へと逃げていきます。
しかし、日本の(都会の)交通事情では油温が上る前にエンジンを止めるケースが多いため、水分が抜けるヒマがないのです。
...アイドリングストップなんか特に最悪よ。私はそういう車に乗るときは真っ先にOFFにします。
ただ、そうは言っても環境は変えられない。その状況でも走るしかない。でもオイルは長持ちさせたい。。。

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【Veriorの水分対策の3本柱】
高耐久・高寿命を標榜しているVeriorですが、その対策は熱に対してだけではありません。
全方面、そこは抜かりなく考えております。
1.< Caスルフォネート >
ホームページでは「清浄分散剤 兼 防錆剤」として紹介していますが、Veriorが採用しているカルシウム型スルフォネートは実に多様な効能があり、
・清浄剤
・分散剤
・疎水剤
・防錆剤
・抗乳化剤
と、これだけの効果があります。
疎水剤&抗乳化剤の部分は「水と油が混ざらないようにする」効果ですので、エンジンオイルに水が混ざらずに水分を単独で分離させます。
先程の写真にあったような乳化状態にさせないための対策です。
水分が単独で分離していればブローバイ還元システムを通じていずれ外気へと逃げていきますので、オイルへの影響を極力抑えることが出来ます。
2.< アルキルナフタレン >
ここでも出ました、アルキルナフタレン。
アルキルナフタレンはエステルと似た効果を持ちながらも、エステルのデメリットであった加水分解を「起こしません。」
潤滑性能そのものはエステルに及びませんが、その安定性の高さは低温域~高温域まで幅広く発揮されます。
それだけでなく、アルキルナフタレンの真髄は酸化防止性能の向上にあります。
最初に書いたように、水分の存在は酸化を促すことに繋がります。
ですので、オイルの酸化防止性能と加水分解は密接に繋がりがあるのです。
(エステルの加水分解対策としても酸化防止は間接的に役立ちます。)
本当に万能薬的な存在ですね。高いけど必ず使うだけの理由があります。
3.< 二硫化タングステン >
こっちもまた出ましたね。二硫化タングステン。
そもそもエンジンケース内の水分はどこからやってくるかと言えば、ブローバイガス経由です。
ブローバイガスの混入を減らすことがエンジンオイルの長寿命化の肝になるわけですので、この対策として二硫化タングステン(トライボフィルム)によるピストンリング周りの密閉性向上を図っています。
この辺の詳しい説明は商品ページでご覧ください。
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という感じで、Veriorはレースのような高温域の対策だけでなく、街乗り用途での低温域の対策も同様に考えられています。
どちらかの性能に偏って性格付けするのは簡単ですが、Veriorは幅広い用途で優れた性能をいかんなく発揮できるオールマイティーな高性能オイルとして開発したいのです。
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