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潤滑領域から見るベースオイルごとの適性

  • 執筆者の写真: Verior
    Verior
  • 4 日前
  • 読了時間: 5分

前回のブログ【潤滑領域から見る低粘度オイルの不合理性】では、結論として「メーカーアプルーバル(認証)品を使いましょう」とお茶を濁して終わりましたが、あの結論で納得するようではまだ探求心が足りません。


今日は、前回の内容の本質的な部分をさらに深掘りして解説を補強していきたいと思います。



┃ おさらい


前回の内容を簡潔におさらいすると、

・流体潤滑領域ではベースオイルの油膜で保護

・境界潤滑領域ではオイル中の添加材成分で保護

→低粘度だと油膜がつぶれやすく、境界潤滑が生まれやすい

→添加材成分は消耗品なので、ベースオイルによる油膜保護(流体潤滑)を優先すべき


まとめるとこんな感じでした。


じゃぁ昔みたいな固いオイルに回帰すべきなの?っていう意味ではなく、今のオイルは昔よりもはるかに進化しているので、わざわざ固いオイルでなくても保護性能は担保されていると考えています。

あくまで極端は良くないねという話。



さて今回は、オイルの油膜性能そのものにスポットを当ててベースオイルの性能の一面を探ってみたいと思います。



┃ 油膜性能は評価できる?


油膜性能というと真っ先に思いつくのがやはりHTHSでしょうか。(また出た)

HTHS(高温高剪断粘度)は実際のオイルの性能を測る指標として重要ですが、これはあくまで商品としての性能。


もっと根本的な、ベースオイル段階での性能を知る手がかりはないか…


前回のブログでちらっと書いたのですが、(スクリーンショットがこれね。)

この粘り強さみたいなものを評価する指標として、『圧力粘度係数』が参考になります。


圧力粘度係数とは簡単に言うとオイルに圧力がかかった時に増幅する粘度の上昇率です。

高圧下での油膜形成能力を評価できる指標です


参考:コトバンク「粘度圧力係数」


オイルは常態と高圧状態とでは粘度が変わる

ということです。

圧力が加わった時、油膜が切れやすいか切れにくいかがこれで分かります。


高圧状態での油膜能力ということは、まさしく流体潤滑⇔境界潤滑領域を決定づける要素だといえます。




┃ ケーススタディ:カム・タペット部


Geminiで生成。
Geminiで生成。

例えばカムとタペット(リフター)の取り合い部。


エンジン内部の境界潤滑領域の代表格と言える箇所ですが、カムにまとわりついたオイルがある以上、完全な境界潤滑オンリーとも言えず、あくまで「支配的な領域」という事です。


カムが回転してカム山がリフターを押し下げるとき、その先端部には当然圧力が加わります。


…私は思いました。


( 'ω').o0(バルブスプリングのバネレートってせいぜい数十kgfじゃん? 大した圧力かかんなくね?)


でもAIに聞いて計算してもらったら、ここにかかる圧力は瞬間的/局所的には1GPa~2GPaくらいになるらしい。

カムやバルブの運動質量、加速度、接触面の不均一性などなどにより、カム鼻先端の極小領域に瞬間的にかかる圧力は飛躍的に倍加するのだそうです。


ここで、オイルがどこまで流体膜として維持し続けられるかが、圧力粘度係数の大小によって相対的に比較できるです。


ではその違いはベースオイルごとにあるのでしょうか。




┃ 各ベースオイルの圧力粘度係数


複数のAIに聞いてみましたがほぼ同じ回答が得られたのでそのまま信用してみたいと思います。


数字の解釈の仕方は、

例えば10GPa-1(乗)の場合、圧力が1GPa上がると粘度が10倍になる

という傾向を持つことを意味します。(イメージとして)


表を眺めてみると、ベースオイルの精製度が上がる(≒粘度指数が高い)ほど、圧力粘度係数は下がる傾向があることが分かります。


圧力粘度係数が低いほど、高圧下での油膜は薄くなる

油膜が切れやすい反面、流動抵抗は小さい(燃費上有利)


油膜という一点で見た場合、分子分布がバラバラなグループI鉱物油が最も粘り強く高圧下での油膜を保持するのだそうです。(分子が絡み合いやすいとの事)


一方でその傾向から大きく外れる物が一つありますね。


アルキルナフタレン


これは分子構造がほかの直鎖式と違ってナフタレン環の構造を持つためで、ベースオイルの中で最も高い圧力粘度係数を持ちます。


これが分かったことで繋がりますが、アルキルナフタレンが含まれるとオイルの耐久性が上げるわけは、


◇ 高圧下でも切れない油膜によって、境界潤滑を発生させづらい

 →添加剤の消耗が遅い


という理屈が成り立ちました。


アルキルナフタレン添加による効能はこれ以外にも様々ありますが、いずれにしてもこれを使わない手はないですね。




┃ グループI鉱物油を最も生かせる環境


圧力が高まるほど粘度が上がる(油膜保護が強まる)という特性が最も生きる場所を考えた場合、ギアが真っ先に思い浮かぶのは自然な話です。


そして思ってみればギアオイルで化学合成油はまず見ることがありません。

いまぱっと思い浮かぶのはSUNOCO(VHVI)くらい。


先ほどの表で、グループIに近いほど圧力粘度係数は高い傾向がありました。

コストは一番安い。

エンジンオイルと違って蒸発性も考慮しなくてもいい。

鉱物油特有の不純物(硫黄)もギアオイルでは極圧性の面で有利に働いてくれる。

エンジンほど高温環境でもないので高粘度指数も求められない。


そう考えると色々と合理的でした。

一概にグループI<<<グループIIIとは言えない側面もあるんですね。




┃ 究極の理想ベースオイルは


不純物の無さ、分子構造の強固性、低温流動性、酸化耐性、適度な極性、非極性オイルと極性オイルを結びつける相溶性の高さ、そして今回の圧力粘度係数。

性能でいえばどの面からみてもアルキルナフタレンが優勝。


ちなみにアルキルナフタレンはグレードによって粘度指数120くらいまではあるので、その辺をベースにすれば粘度指数向上剤も多くは必要ない。そもそも油膜性能が高いから。


でもお分かりですね。

使われてない理由はコストの高さです。


それでも添加剤的に少し加えるだけで間違いなく性能は上がりますのでぜひお勧めします。


添加剤販売 アルキルナフタレン

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